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2018/4/1 ANTIBODIES Presents ALVIN LUCIER & Ever Present Orchestra

ANTIBO HQ

In news Posted

 Creative Independence Performance Series Vol.1

 Alvin LUCIER  

Ever Present Orchestra

 ANTIBODIES Collective

 

Date: 2018/4/1(Sun.) 17:00-

Place : 京都大学 西部講堂

TICKET:全席自由
・一般前売 2,500円 / 当日 3,000円
・ユース(25歳以下)・学生 (要学生証)前売 2,000円 / 当日 2,500円
・高校生以下[前売・当日] 1,000円

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Antibodies Collective presents Creative Independence Performance Series Vol.1

Alvin Lucier & Ever Present Orchestra in Kyoto

 

1931年、アメリカ・ニューハンプシャー州に生まれたアルヴィン・ルシエは、66年にはロバート・アッシュリー、デヴィッド・ベアマン、ゴードン・ムンマ等とソニック・アーツ・ユニオンを結成し、北アメリカにおける実験音楽の中心的存在となりました。68年から現在に至るまでウェスリアン大学の音楽科教授を務め、世界的な教育者としても知られています。実験音楽やサウンド・パフォーマンスといった未聞の概念の形成に貢献したその作品群は、音という現象を介して人と環境の関わりを探求する新しい芸術として高く評価されてきました。「私は部屋に座っている」というルシエの声の録音から始まる1969年の作品は、自らの声の録音と再生を繰り返すことで、その空間に特有の周波が偏在することを露わにするというものでした。「事象の中以外に観念は存在しない」と言ったルシエの思想を良く表していると言えると思います。他にもマイクのフィードバックにおけるヘテロダイン効果に着眼した「鳥と食卓の人」(1976)、大型のアンテナ機構とラジオ受信機により電離層の音を届ける「Spherics」(1981)、脳のアルファ波を電気的に拡張して楽器などを共鳴させるフィードバック機構による「ソロ・パフォーマーのための音楽」(1965)など、環境や自然現象への科学的な洞察からはじまり、行為へ、そして音へと展開して、やがて的確で簡潔な言葉へ帰結していくこのような初期作品群は、アイデアの原石のようなものとして、芸術全般から思想哲学に及ぶ多くの人に多大な影響を与えて来ました。ルシエは2018年のツアーを最後の海外遠征としており、惜しくもこれが日本で最後のパフォーマンスとなります。日本における実験音楽を含む先進的パフォーマンスの精神的故郷である西部講堂が、アルヴィン・ルシエが最後に日本で演奏する場所になるとは心が震えます。また、アーティスト・コレクティヴである私たちが、西部講堂と同様に自主的な自治と自由の精神のもとに、既存の体制に頼らずとも文化芸能の復権と継承の運動を担うことを掲げ主催するイヴェント・シリーズの第一回目となったことも感慨深いものがあります。そして何よりも、通常よりも遥かに長い延長プログラムを用意してくれたばかりか、世界初演となる最新作である「Tilted Arc」が演奏されることも決まりました。下部に詳しい内容を紹介しております。ここは「お見逃しなく!!!」としか言いようがありません。

(カジワラトシオ)

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Line Up:

Alvin Lucier
アルヴィン・ルシエ

Bernhard Rietbrock – E-Guitar
ベルンハード・リートブロック(エレキギター)

Oren Ambarchi – E-Guitar
オーレン・アンバーチ(エレキギター)

Gary Schmalzl – E-Guitar
ゲイリー・シュマルツ(エレキギター)

Jan Thoben – E-Guitar
ヤン・トーベン(エレキギター)

Felix Profos – Piano
フェリックス・プロフォス(ピアノ)

Trevor Saint – Glockenspiel
トレヴァー・セイント(グロッケンシュピール)

Rebecca Thies – Violin
レベッカ・ティース(バイオリン)

Christina Moser – Violin
クリスティーナ・モーザー(バイオリン)

Cécile Vonderwahl – Violin
セシル・フォンデンワール(バイオリン)

Azat Fishyan – Violin
アザット・フィシュヤン(バイオリン)

Valentine Michaud – Saxophone
バレンタイン・ミショー(サックス)

Joan Jordi Oliver Arcos – Saxophone
ジョアン・ジョルディ・オリバー・アルコス(サックス)

Charles Ng – Saxophone
チャールズ・ン(サックス)

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★PROFILE★

Alvin Lucifer アルビン・ルシエ

20世紀後半のアメリカ音楽の最たる代表者として、アルヴィン・ルシエの先駆的研究は、通常は聞こえない音を可聴化する試みとして最も顕著であるが、何よりも非常に特異な形で音を可視化したり、空間を有形化するその手法において特徴的である。1950年代を通じて彼の作曲法は欧州の古典的な技法を軸としたが、1965年に始まったライヴ・エレクトロニクスの時代から1982年に至るまで、ルシエの楽曲は全て言葉によって表されていた。これらの言葉は伝統的な意味における音楽的概念のコード化として理解されるのではなく、音の現象、もしくは音響的に生成される現象を明らかにする集中的な実験状況の設定として理解されるべきである。 1970年代に始まったサイン波を使った作品群はさらなる発展を遂げ、1982年以降の古典的楽器のための楽曲群は、かつての電子的に育成された音波と古典的な楽器の音波の干渉によって導き出される状況の研究を基礎とした作曲方法の延長線上にあると言える。伝統的な演奏の技術、表記法、通常のコンサートといった場面への復帰、親しみ深い環境や楽器を使用することは、これらの楽曲が音楽の通念を大きく逸脱したルシエの根本的な美学を際立たせる作用を意図して作られていることを表す。ルシエの作曲に関して特に強調すべきは、「概念は物事のなかにしか存在しない」ということ、言い換えれば、それは空間そのものに内在する概念の解放性という、古典芸術のロマン主義や従来の音楽の概念を逸脱した眼差しであり、ルシエの実験的な楽曲群は、音という現象、そして知覚そのものを如何に知覚するかということについて絶えず言及している審美的な反射である。

Ever Present Orchestra

エヴァー・プレゼント・オーケストラは、アルヴィン・ルシエによって作曲された類稀なる作品群の演奏に特化した演奏家集団です。 オーケストラはルシエによるビート・パターン(共振現象)に重点を置いた楽器音楽を、4人のエレキギター奏者、3人のサクソフォン奏者、4人のバイオリン奏者とピアニストという珍しい楽器構成で、幅広い聴衆に届けようとしています。 古典西洋音楽の演奏者たちと並んで、ステファン・オマーリーやオーレン・アンバーチなど、ルシエの作品を独自に解釈してきた演奏家たちの存在により、アンサンブルは従来の現代音楽シーンよりも広いオーディエンスにアピールすることに成功しています。

Bernhard Rietbrock – Ensemble Director

チューリッヒ芸術大学理論学研究所に所属する研究員、音楽家、プロデューサー。 スイス国立科学財団(SNF)の研究プロジェクト「アルヴィン・ルシエ以降の反射的実験の美学」を率いる。 2016年、エヴァ・プレゼント・オーケストラを設立、同オーケストラの芸術監督を務める。

Trevor Saint – Glockenspiel

トレヴァー・セイントはグロッケンシュピールのために新しく作曲された音楽を演奏する音楽家です。 拡張された帯域を有する楽器のための最初のソロ作品の演奏のほか、クリストファー・バーンズ、ジェフ・ヘリオット、マット・サージェント、アルヴィン・ルシエといった作曲家たちと定期的に、様々な形式で活動を共にしています。 Tanngrisnir(コンピュータ制御の照明とアルゴリズムによってカットアップされるビデオ投影のデュオ)、Skewed and Such(共鳴する金属やリアルタイム・プロセッシングの繊細な領域を探るデュオ)の一員としても演奏活動中。

Oren Ambarchi – Guitar

オーレン・アンバーチは、器楽音楽に関わる従来のアプローチを超越することに長年の関心を抱いているマルチ・インストゥルメンタリストである。 彼の作品は主にギターの探求に焦点を当て、その楽器をエイリアン的抽象化の領域に再ルーティングすることで、楽器自体を容易には識別できない形態の音楽、もしくは拡張された音響実験のための環境を創出してきた。

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Program Ever Present Orchestra – Kyoto:

Bird and Person Dyning – Alvin Lucier
Braid – Ever Present Orchestra
Two Circles – Ever Present Orchestra
Semicircle – Ever Present Orchestra
I am Sitting in a Room – Alvin Lucier

Intermission

Ricochet Lady – Trevor Saint
Criss Cross – Oren Ambarchi & Gary Schmalzl
Hanover – Ever Present Orchestra
Tilted Arc – Ever Present Orchestra

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Program Info:

[Bird and Person Dyning](1975)

for performer with microphones, amplifiers, loudspeakers and electronic sound producing objects

1975年の感謝祭の日、暇を持て余した私はウェスリアン大学の電子音楽スタジオで午後を過ごしていました。そこで私は、最近未見の知人であった作曲家のダグ・カーンから郵便で受け取った、鳥の鳴き声の様な下方向のグリッサンドとそれに続いて無限に反復する電子音を発生する、クリスマス・ツリーの装飾品と思われる玩具のようなものを、ステレオに配置されたスピーカーからパニングをかけて再生する実験を始めたのです。ちょうどその頃入手していたSennheiser社製のバイノーラル・マイクロフォンを頭部に装着し、早いスピードで頭を動かすことによって短時間のディレイのような効果を得ることが出来ないものか、もしくは別の発見に値する現象は存在しないかを確かめるために実験をしたのです。私が部屋の中央に立っていたとき、ある時点でフィードバックが起こり始めました。私がアンプのボリュームを下げに至る前に、私は頭の中から聞こえていると同時に、部屋の様々な場所で鳴っているかのような鳥の鳴き声の幽霊のような印象を聞いたのです。その音は実に素晴らしかった。結果として得られる音色が、ヘテロダイン成分によるものなのか、内耳間の高調波によって発生する聴く人の中にしか存在しない音の現象なのかどうかはともかくとして、結果が壮観なものであることは確かであり、何よりもリスナー自身がそれを鮮やかに聞くことができたのでした。幾年にもわたる数々のパフォーマンスで、マイクスタンドに鳥の鳴き声を発する装置と二つのスピーカーを取り付けたものが空間の正面中央に配置されたシンプルなセットアップを開発しました。パフォーマンスは単純にパフォーマーが幽霊現象を探して空間をゆっくりと移動することから成ります。私は通常、聴衆のエリアを通って、鳥の声の装置とスピーカーの方向へ移動します。左から右に頭を傾けることで、ヘテロダイン効果が起こるポイントを探し、その結果を微調整しながら空間を移動します。幽霊の鳥の地理的位置はバイノーラル・マイクロフォンとスピーカとの空間的関係性により決定されます。私は状況の演劇性を味わいながら、鮮やかな転置や、鏡像反転が起こることを楽しむのです。しかし時には、空間は不要な共鳴をわずかに生み出すのみの場合もあります。パフォーマーは、鳥の声の印象を生み出すフィードバックに関する適切な状況を見つける作業を受け入れることを要求されるため、パフォーマンスは即興によるものではありません。

アルヴィン・ルシエール:フィードバックと私の仕事 (Resonance Magazine 9(2) 2002/P.358)

[I Am Sitting in a Room] (1969)
for voice and electromagnetic tape

「私は部屋に座っている」(1969)のアイデアは「Chambers」から派生したもので、ルシエはその体験を通じて、すべての部屋には独自の周波数特性があるということを発見たのでした。エドモンド・デワン氏がルシエにブランデイス大学で語っていた、特定の再録音の方法を通してスピーカーをテストするAmar G. Boseの方法にも触発されました。簡単に言えば、特定の空間における録音と再生の繰り返し作業は、その空間特有の共鳴周波数を明らかにするということであり、「私は部屋に座っている」の場合、プロセスの始めに記録されたスピーチは最終的には認識不能となります。

『私は今あなたと違う部屋に座っています。私は自分の話し声を録音しています。部屋の共鳴周波数がそれ自身を強化していくことによって、リズムの要素のみを除いて私の話し声が完全に破壊され消滅するまで、録音と再生を繰り返します。その時点であなたが聞くものは、私の話し声によって表現された部屋の自然な共鳴周波数そのものであります。私はこの運動を、私の話し声が持つ帯域の不規則さを滑らかにする方法として考え、この現象自体を明らかにすることを意識してはいないのです。」

[Ricochet Lady] (2016)
for solo glockenspiel

「Ricochet Lady」では、グロッケンシュピールがパフォーマンス会場の壁の近くに置かれます。 プレイヤーが3か4音のクロマティック・パターンを繰り返すと、音は壁から離れ、部屋の周りを反射し、そのキャラクターを変化させながら動き回ります。 「Ricochet Lady」はトレヴァー・セイントのために作曲されました。 この作品のタイトルは、モートン・フェルドマンが「Why Patterns」でグロッケンシュピールを使用した経緯を『グロッケンシュピールを叩くのではなく、高貴な女性と接するかのように扱うことを恥ずかしく思う必要は無かった』と語ったことにインスピレーションを得たものです。

[Criss-Cross] (2013)
for two electric guitars

パフォーマンスの過程でE-Bow(電磁石を使い弦を共振させる装置)を使う3人のバンジョー奏者が、1オクターブと6の範囲で上下にスイープします。 5人の楽器演奏者は、音波が同調するときに起こるビーティング現象と、スイープする音波に対しての音を発声することで生み出される干渉のパターンを演奏します。 「Hannover」はCallithumpian Consortのために作曲されたのち、エヴァー・プレゼント・オーケストラの楽器群に適切化されています。

[Braid](2012)
for alto flute, clarinet, english horn, and string quartet
adapted for the Ever Present Orchestra

4人の弦楽器奏者は、4本編みの編組状パターンでゆっくりと上下にスイープを繰り返します。 彼らがそうしているように、3人の菅楽器奏者は長いトーンをスイープする弦の音に対して持続させ、弦のスイープと固定された菅楽器の音の距離によって決定されるスピードで共振しビーティング運動を生み出します。 遠く離れているほどビートが速くなり、調和の状態ではビートは起こりません。 「Braid」はCallithumpian Consortのために作曲されたのち、Ever Present Orchestraの楽器群に適切化されています。

[Hanover] (2015)
for violin, 2 saxophones, 3 banjos, piano and bowed vibraphone
adapted for the Ever Present Orchestra

パフォーマンスの過程でE-Bow(電磁石を使い弦を共振させる装置)を使う3人のバンジョー奏者が、1オクターブと6オクターブの範囲で上下にスイープします。 5人の楽器演奏者は、音波が同調するときに起こるビーティング現象と、スイープする音波に対しての音を発声することで生み出される干渉のパターンを演奏する。 「Hannover」はCallithumpian Consortのために作曲されたのち、Ever Present Orchestraの楽器群に適切化されています。

[Semicircle] (2017)
for four violins, three electric guitars, piano and four alto saxophones

18分にわたって、12人の楽器演奏者が一斉にユニゾンで上下にスイープし、半円の形を形成するという作品。 弓の動きの変更や息づかいの指定箇所などが奏者の譜面に記されています。ピアニストは、1秒間隔で一連の音を鳴らし、上下にステップして、他のプレイヤーのスイープ運動を追跡します。 「Semicircle」はEver Present Orchestraのために作曲されました。

[Two Circles] (2012)
for flute, clarinet, violin, cello, piano and pure wave oscillators
adapted for the Ever Present Orchestra

パフォーマンスの過程で、電子的に生成された純粋な音波は、それぞれが中央の周波から昇順および降順の18半音階の範囲にまたがる2つの同様の円を描きます。 各サークルは10分30秒の長さを持ち、2番目のサークルは7分31秒で最初のサークルと重なっています。 全長は18分です。 純粋な音波が上下にスイープするにつれて、奏者たちの発する音波とスイープする音波の距離関係によって決定されるスピードで起こるビーティング現象を生成するために、各奏者は長いトーンをそれらに対して維持する。 遠く離れているほど、ビーティングが速くなります。 ユニゾン状態では、ビーティング現象は起こりません。音波が連続的に動いているので、プレイヤーの音波から遠ざかるにつれてスピードを上げ、近づくにつれて減速することになります。

[Tilted Arc] (2018) – world premiere
New piece by Alvin Lucier composed for the extended line-up of the Ever Present Orchestra including Trevor Saint on Glockenspiel.
The title of the piece is a reference to Richard Serra’s intallation Titled Arc .

この作品のタイトルは、リチャード・セラのインスタレーション作品「Tilted Arc」(傾いた弧)を参照しています。 「Tilted Arc」は、1981年から1989年までの間、マンハッタンのフォーリー・フェデラル・プラザに展示され、激しい論争を呼んだパブリック・アート・インスタレーションでした。その作品は、長さ約37メートル、高さ3.7メートルの未塗装の状態のままの頑丈なCOR-TENスチール製のプレートから成っていました。 辛辣な公開討論の後、連邦訴訟の結果として1989年に彫刻は撤去され、芸術家の望みによってそれ以来公開されたことはありません。

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ANTIBODIES Collective

コンセプト・構成 : カジワラトシオ
振付 : 東野祥子
空間演出・美術・装置 : OLEO
特殊効果 : 関口大和

身体パフォーマンス : 東野祥子、ケンジル・ビエン、松木萌、菊池航、川瀬亜衣
照明 : 藤本隆行(Kinsei R&D)

テクニカル:ヤノタカオ西村立志
音響:佐藤孔治(Slim chance Audio)
宣伝美術:カジワラトシオ

記録 :Yoshihiro Arai

立看板作成:KONIROW、濱大二郎

主催:Antibodies Collective
協力:チューリッヒ芸術大学(ZHDK)・ 京都大学 西部講堂連絡協議会、月桃食堂、天然自笑軒、古原彩乃、森川史子ほか

Special thanks:スーパーデラックス ・在日スイス大使館

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